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DENTSU PR GALLERY

ひとりの小さなつぶやきが、世の中を大きく動かすアイデアに!?
トレンドの兆しを捕獲する「ソーシャルハンター」に迫る!

PRの企画を考えたり、企画が発表された後の反応を分析したりするときに欠かせないのが「生活者がどう思うか、何を考えているのか」「マスメディアがどう発信しているか」という視点。従来はメディアヒアリングや、報道状況分析、対面調査などを行って「世の中の声」を読み取っていましたが、現代においては「ソーシャルメディア」が大きな役割を果たしています。

 

ソーシャルメディアを使っていわゆる「バズった」のかどうか(どのくらい投稿があるか、いつ誰の投稿がバズの火付け役かなど)、あるいはどのような声が上がっているのかを測定・分析する「ソーシャルリスニング」は、広告やPRの企画が成功したか否かを判断するうえで欠かせない手法となっています。

 

一方、「ソーシャルリスニング」が既に話題になったテーマやトピックについて過去の一定期間にソーシャルメディア上で話題になったかどうか、いつどのように語られていたかを探るのに対して、「ソーシャルハンティング」なるものがあることをご存知でしょうか?「ソーシャルハンティング」は、まだそれほど世間を騒がしてはいないが、今後生活者にとって大きな関心事となるかもしれないトレンドやイシューの「兆し」、「インサイト(行動や態度の根底にある潜在的な欲求)」を“捕獲”する新たな手法です。これ、実は電通PRコンサルティングが、社内シンクタンク・企業広報戦略研究所と共同開発した、新しい「世の中を読み取る」手法なんです!

 

今回は「ソーシャルリスニングと何が違うの?」「どういう風に企画に生かされているの?」「若手社員でもソーシャルハンターになれるの?」など、学生の皆さんが抱くギモンについて、ひそかに(?)「ソーシャルハンター」を目指す若手社員・金山 が、電通PRコンサルティングの「ソーシャルハンター」こと鶴岡大和さん、PRプランナーの植野友生さんにお話をお伺いしました。

※コロナ特別勤務体制のため、ビデオ会議にてインタビュー実施しました。

※2021年1月時点の所属・内容になります。

Profile

情報流通デザイン局 データソリューション開発部

鶴岡 大和 (つるおか やまと)

データソリューション開発部にて、ソーシャルリスニングや「ソーシャルハンティングTM」を主に担当。ソーシャル視点での生活者インサイト分析や新たなイシュー発掘を軸としたPRプランニングやコンサルティング、効果測定など幅広く従事。「ソーシャルハンター」第一号。

情報流通デザイン局 コミュニケーションデザイン部
※現在は在籍しておりません。

植野 友生 (うえの ともみ)

情報流通デザイン局 コミュニケーションデザイン部所属。これまで、主に外資系消費材メーカーの各種ブランドや、流通などのPR領域のアイデア開発・コンサルティングを担当。2021年のトレンドを各界のオピニオンと予測する、電通PRトレンド予測レポートの執筆も担当。受賞歴に、2018 Global SABRE Awards WinnersTOP40 ( 世界29位)など。

【ソーシャルハンターへの道~基礎編~】 ソーシャルハンティングで、生活者の「リアルな本音」を発掘する。

まず、「ソーシャルハンティング」とはそもそもどういった活動を指すのでしょうか?

鶴岡

「ソーシャル」メディア上から、鬱憤(うっぷん)などの感情が発露している投稿、あるいは視点や行動がユニークな投稿を「ハンティング」して、企業や商品ブランドのコミュニケーションプランニングなどに活用する分析手法のことを言います。

優れた企画は、「企業が伝えたいこと」だけを一方的に発信するのではなく、それが世の中にとって求められる情報や取り組みになるように「世の中の隠れたニーズ」に応えるものでなくてはいけません。まだ話題化が世の中の現象にまでは至っていない、あるいはメディアでも取り上げられていないなど、世の中的に大きくは目立っていないけど一定の共感性や新規性のあるような「いちユーザーのニーズやウォント」を拾い集めて、企画の根幹のアイデアとして活用することがソーシャルハンティングの目的です。

アンケートを取ったり、インタビューを行ったりして生活者のインサイトを集めることと比較して、ソーシャルハンティングにはどのような利点があるのでしょうか?

鶴岡

利点は、大きく分けて三つあります。

第1に、ソーシャル上では自分の意見を包み隠さずつぶやいている投稿が多いので、生活者のリアルな本音をあぶり出せること。

第2に、投稿した日付や時間帯などの履歴が残っているので、「投稿する」という行動自体からも意味を読み取ることができます。例えば、秋口に突如「冬眠」というワードを含む投稿が増えるのですが、それは急に気温が下がった日で、人は寒くなると秋から「冬眠したい」気分になる・言いたくなることが見えてきます。あとはTV番組でも、どのタイミングで投稿が跳ねたかによってファン心理なども捉えられます。

第3に、どの投稿のシェアやリツイートが多いかを観察すると、共感が得られやすいポイントが分かることです。

ソーシャルハンティングと同じようにソーシャルメディア上の生活者の声を活用する手法として「ソーシャルリスニング」があると思いますが、両者の違いはなんですか?

鶴岡

「目的」と「実施する段階」が異なります。ソーシャルリスニングは、主に「キャンペーンによってどれぐらいの効果があったか」や「ローンチした商品に対するSNS上での評価はどうか」などのいわゆる施策の「効果測定」を目的として実施します。それに対し、ソーシャルハンティングはプランニングの最初の段階でリサーチをかけ、これからトレンドになるような兆しや、まだ注目されていないイシューの芽を発掘し、企画のアイデアとして生かすことを目的としています。

 

【ソーシャルハンターへの道~実践編~】 就活生をテーマにソーシャルハンティングをやってみた!

ここからは、実際に「2021年の就活」に関するソーシャルハンティングをやっていただこうと思います。まず、ソーシャルハンティングに使用するツールにはどんなものがありますか?

鶴岡

主に見るソーシャルメディアはTwitterです。併せてTwitter用の分析ツールを使うことが多いですね。

Twitterには他のSNSと比べて包み隠さない本音の意見が多いことや、世の中やTwitterの中でのトレンドにすぐに反応すること、アカウントの棲み分け(就活用のアカウントや好きなアイドルを応援することに特化したアカウントなど目的に応じて使い分ける)などの特徴があり、ハンティングのための「いけす」としてふさわしいツールです。

実際にどういったワードで検索をするのでしょうか?

鶴岡

基本的には、調べたいトピックと、感情が発露していそうな言葉・テーマを掛け合わせて検索を始めます。今回でいうと、「就活」や「オンライン面接」×「してほしい」や「孤独」、あるいは「コロナ」といった時流に合わせたトピックなんかをテーマにすると、面白そうな投稿が見つかりそうですね。

 

ざっと、こんな感じでしょうか…。

 

では、ハンティングの結果を、実際に見ていきましょう!

鶴岡

こうやって、同じような内容の投稿を「○○問題」や「○○説」などとグルーピングしていくと、共感されやすいトピックやみんなが不満に思っていることがだんだんと見えてきます。一人ひとりの投稿から問題や説として自ら名前をつけて打ち立てて、新たな発見を作っていくことが企画の種になります。

僕も面接終わりにオフィス街で食べるご飯が就活期のモチベーションでした…。

鶴岡

家にいる時間が多くなったことで『ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)』エピソードがない問題は、コロナ禍ならではのインサイトで、とても興味深いですね。例えば、この結果を踏まえて学生がエピソードを話しやすいように「電通PRコンサルティングは『ガクチカ』ならぬ『イエチカ』を募集します!」と打ち出すなど、ここからたくさんの企画が生まれそうです!

※実際は募集していません!(by人事)

【ソーシャルハンターへの道~応用編~】 ソーシャルハンティングをきっかけに、 一つの企画が生まれるまで

ここからは、実際にクライアントの課題に対して企画を考える立場であるPRプランナーである植野さんを交えて、「ソーシャルハンティングがどうやって企画に生かされていくのか」ということを実際の事例を題材にひもといていきます。

<「#推し見逃さない」プロジェクト>

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ビジョンケア カンパニーが販売する 「調光コンタクトレンズ」の販促プロジェクト。自分の好きな人やもの(=「推し」)を一瞬でも「見逃したくない」という生活者のために、調光コンタクトレンズを利用して視界をクリアに保ち「#推し見逃さない」ようにすることをコンセプトにキャンペーンを展開した。

「#推し見逃さない」というアイデアが生まれた経緯を教えてください

鶴岡

商品の効能に関わる「視界」や「まぶしさ」をテーマにソーシャルハンティングを行ったところ、アイドルファンの間で、ライブイベントの前にブルーベリーサプリメントを摂取したり、駆け込みで眼鏡の度数を調整したりといった行動が発見できました。こういった行動をきっかけにして、自分の好きな人・モノと会うときには「視界をクリアにしておきたい」という潜在的なニーズを発見することができました。

ソーシャルハンティングで見つけることができた潜在的なニーズを、どのように企画に活かしたのでしょうか?

植野

PR思考で企画を考える際には、世の中でどのように「語られるか」から逆算して考えることが大切です。「企業やブランドが持つ強み・特徴」と、「世の中の関心事やイシュー」を重ね合わせながらコンテクストを考えていきます。世の中の潮流に合うかどうか、クライアントの強みがきちんと伝わるかどうか、といった点で、ソーシャルハンティングで見えてくる複数のトレンドやイシューを比較・評価し、最終的に「#推し見逃さない」という企画が出来上がりました。

「#推し見逃さない」を世の中に広めるために、どのような戦略を描き、実行しましたか?

植野

推しへの熱量を大切にすることと、ソーシャルハンティングで見つけた、自分の好きな人・モノと会うときには「視界をクリアにしておきたい」という潜在的ニーズをさまざまなシチュエーションで広く顕在化できるように戦略を立て、実行しました。

まずはCMのオンエアに関して、ファンが推しと一緒に楽しめるように、予告としてTwitterで出演タレントの「目」だけを投稿するなどし、「これは誰の目なんだろう?」「●●さんのじゃない?」などの推測が生まれ、ローンチ前の盛り上がりが生まれました。ローンチ後はCMはもちろんのこと、各種メディアにおいて「#推し見逃さない」という文脈で話題になっていきました。

さらに、「推し」を、子どもや、愛犬、スポーツ、キャラクターなど、それぞれの生活者に合ったさまざまな対象に広げることで、アイドルファン以外の方にも「推しを見逃さないためのアイテム=調光コンタクト」と認知されるように話題を広げていきました。

企画がローンチした後の生活者の反応はどのようなものでしたか?

植野

想定を超える反響があり、「推し見逃さないために購入しよう」などの声も生まれました。ソーシャルハンティングによってしっかりとしたインサイトを事前に掴んでいたからこその結果だと思っています。

【ソーシャルハンターへの道~キャリア編~】 「小さなつぶやきが、ダイナミックな企画を生んでいく」過程は大きなやりがいだ!

鶴岡さんは、入社したときからこういった領域の業務を志していたのでしょうか?

鶴岡

もともとTwitterの文化や温度感が好きでよく使っていたものの、最初からこういった業務を志していたわけではありませんでした。調査の企画や分析などを行う部署への異動が決まり、そのタイミングで担当していた業務を通じて、「こんなこと調べられる?」と頼まれてやってみて…といった、たまたまが重なって、この仕事に巡り合うことができました。

ソーシャルハンティングの仕事をするようになって、どんなことにやり甲斐を感じていますか?

鶴岡

自分が発掘した潜在的ニーズがプランニングの基礎として活用され、世の中・クライアントのためになっていくことに達成感があります。特に、一人一人の小さなつぶやきが、世の中を動かすダイナミックな仕掛けに変貌していく姿を見られることは、この仕事の醍醐味だと思います!

また、一刻一刻変わっていく世の中の流れやトレンドを一番の最前席でウォッチしているような感覚も、この仕事でしか味わえないものだと思います。

鶴岡さんの、ソーシャルハンターとして、PRパーソンとしての今後の夢を教えてください!

鶴岡

ソーシャルハンターという肩書に見合った仕事をすることはもちろん、名乗っているからにはハンティングの仕事が楽しそうだなと思ってもらえるようになりたいです。PRパーソンとしては、自らが見つけたイシューをきっかけに、クライアント・世の中のプラスになるような企画をつくっていくことですね。

最後に、お二人から就活生に向けて一言をお願いします!

鶴岡

自分はソーシャルハンティングをしておいてなんですが、周りばかり見ないことも大事なことだと思います。なぜ就活をするのか、なぜ働くのかということをしっかり自分と向き合って考えて、納得ができる形で就活を終えられるように頑張ってください!

植野

まずは、自分が心惹かれるもの、楽しいと思えるものに素直に従うこと。PRという仕事柄、さまざまな業種の方と一緒に仕事をすることが多いのですが、就活時には気付かなかったような魅力あふれる仕事が数多くあることに社会人になってから気が付きました。いろいろな企業の人と触れることができる貴重な機会を生かして、視野や人生の選択肢を広げていくことも重要なことだと思います!

Writer’s Profile

プランニング&コンサルティング局

金山 泰我 (かなやま たいが)

2020年入社。大手消費財メーカーや旅行会社、飲料メーカーなど幅広い領域の企業の広報サポート業務に従事。今年度の目標は所属している電通PRコンサルティング野球部で初ヒットを打つこと。